[News & Topics] 飯野ビルのWELL認証取得が証明した「既存ビル×環境認証」のマーケット・インパクト
飯野ビルディングが、建物のウェルビーイング(健康・快適性)を評価する「WELL認証」において、最高ランクのプラチナを新たに取得したというニュースが届きました。 [ニュースリリース:飯野ビルディング、WELL建物の認証において「プラチナ」を取得]
2014年の竣工から年月の経った既存ビルでありながら、これまで取得していなかった新たな認証(かつ最高ランク「プラチナ」)を取得。新築物件で認証を取得する事例は近年増えてきましたが、既存物件で新たに取り組む事例はまれな動きです。このリリースを読み解くと、今後、マーケットが動いていきそうな凄みを感じました。
既存ビルで新たにWELL認証を取得する意味は?
認証取得は往々にして、LEEDやWELLの認証取得のモチベーションは「テナント誘致に向けた物件の魅力の訴求のため」と語られることが多いです。昨今、企業の経営課題として優秀な人材獲得のため従業員への投資が重要視されて来ています。稼働率も悪くなかったであろうこの物件で、今新たな認証を取得する意義(や社内での説明方法)がとても気になります。おそらく、既存物件でWELL認証を取得することで改めて、この物件で働く人へのエンゲージメントを高めることに繋がり、ビルの高水準の稼働率を維持につながることを期待したのではないかと考えました。
なぜ、2014年に竣工した物件でWELLプラチナが取得できたのか?
新築時ではなく、稼働し続けているビルで新たな認証に挑戦し、最高ランクのプラチナを取得するのは並大抵のことではありません。設計段階から織り込める新築と違い、既存ビルには設備や運営上の制約が必ずあるからです。飯野ビルディングはテナントビルのため、入居している方々もいる中で、 結果を出せたのはなぜなのでしょうか。WELL認証では喫煙室設置の要件が厳しく、従来の喫煙所がある物件では撤去や、大規模な改修が求められる可能性があります。加えて、最高ランクを取得するには点数の積み上げが必要になってくるのでビル管理の面でも追加業務を行っていく費用があります。同ビルが過去にLEED(米国の建物の環境性能評価)を取得していた際のアドバンテージがあるのかもしれません。さらに、日常からデータどり、テナントに対する快適性の追求、外構部のイイノの森という緑地(自然共生サイトに登録されたようです!)の取り組みなどもWELL認証の視点からも評価されたのではないでしょうか。当初から環境に配慮し設計、管理運営していた飯野ビルには潜在的な付加価値があり、それがWELL認証という形で第三者評価を得た、とよむことができます。
「共用部」への広がりが物件価値を定義する
今回の認証取得範囲は、専用部だけでなく「共用部(ラウンジや動線など)」まで認証範囲を広げている点です。 WELL認証は自社入居区画のみで取得する場合が多いですが、今回は共用部まで対象に入れていることで、入居するテナントに対して新たな投資をしたことも素敵です。入居するテナント企業が自ら大きなコストをかけずとも、ビルにいるだけで従業員の健康やパフォーマンスが向上する環境を作り出しました。ビル側がインフラとして「良質な環境」を担保し切る。これこそが、これからのビルが持つべき「選ばれる理由」の核心ではないでしょうか。
リリースの行間に見える、管理現場の矜持
リリースの中でさらりと「今後の更新」について言及されている点に、私は「たくましさ」を感じました。通常、こうした認証は「取得した瞬間」がゴールの発信になりがちですが、更新に触れるということは、その基準を守り続けるための泥臭い日常管理と調整を、これからも継続していくという覚悟の表明でもあります。
認証を単なる「看板」で終わらせず、日々の運用を通じて価値を磨き続ける。そんな管理現場の矜持が見えるような、素晴らしい事例だと感じました。
